疲れきった金曜の夜。
仕事が減らない。責任は増える。甘えたいときに限って、彼氏は相手してくれない。こんな日はもう、風呂でも入って寝るに限る!
という中で手に取った、ヤマザキマリさんの「地球で生きている」が良かった。
ヤマザキさんは「テルマエ・ロマエ」の作者で、17歳から海外に住んでいるという、タイトル通り「地球で生きている」人。
日本と世界という空間的広がりだけでなく、初めて住んだイタリアの土地柄なのか、現代とルネサンス期というような時間的広がりまでも感じる自伝的エッセイで、私は2016年の東京にいながら、どこか遠い世界へと旅をしてしまったのでした。
「今、ここ」にある世界から、「いつか、どこか」にある世界へ。
会社という狭い世界で、緻密に立てた計画を、確実に実行していくような仕事をしていると、「今、ここ」に集中しすぎて、感覚がミクロに陥りがち。
だけど、広いマクロの世界に出ていく、この感覚が旅なのだとしたら、本でも旅ができるんですね。
旅の魅力は「今、ここ」からの自由。
本当の旅には、時間も資金も(体力も)必要だけど、心さえ自由になれれば、束の間の旅気分が味わえるのかもしれません。