古いものやレトロなものに、惹かれてしまうこの頃。
若い頃は古臭くて、魅力なんか感じなかったけど、40近くなると人生自体、未来より過去が長くなるからなのか、古いものがどんどん好きになります。
東京都の指定文化財である「子規庵」に行ってきました。明治の俳人、正岡子規が結核にかかった末、終の住処とした家です。
そこは、小さな和室と箱庭があるのみの質素な家。文豪の家とは思えません。
晩年(といっても30代)、俳句に写生主義を提唱した彼の世界観が、こんな小さな家から生まれていたとは、“感性”というのは恐るべきものです。
子規庵を訪れたきっかけは、司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」でした。
正岡子規を含む、明治を彩った松山出身の若者3人を描いた歴史小説ですが、いやはや、歴史小説だって、若い頃は読もうとも思いませんでした。
だけど歴史って本当は、暗記科目なんかじゃなくて、ドラマなんですよね。その辺のフィクションよりもよっぽど面白いドラマです。
特に、日本の黎明期である明治は、現代との繋がりも感じやすく、小説を通じて、その時代の人の努力などを知ると、血縁もないのに“先祖”だって、感謝したくなるんです。
きっと誰かの想いが、日本という国を守ってきた。その上で今自分も平成に生きている、みたいな。
そして今を生きる自分は、未来に何を残せるだろう、みたいなことも少しは考えたりはするのです。