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東京百景

足元にある小さな幸せをコレクションするブログ

東京でのうのうと生きる

「こじらせ女子」で有名な雨宮まみさんの本「東京を生きる」に、共感するところが多かった。

 

都会で一人暮らしがしたいという理由だけで上京。親の苦労は見て見ぬふり。そのくせ憧れだったものは未だ、何ひとつ獲得できていない。

好きなものは、東京湾のクレーンやホテルの朝食。田舎と媚びる女は否定するが、かといって自分も格好いい「東京の女」にはなりきれていない。

この本は雨宮さんが3年前、今の私の年で書いたものだ。文章が綺麗。同世代にこんな人がいたなんて、驚いた。驚いたけど、

にしても、暗い。

雨宮さんは昨年、40才で亡くなった。3年後に死ぬことが分かっていたかのような文章だった。

それに比べて私は、良い意味でのうのうと生きている。

たぶんこれは、私の資質と無関係ではない。「足るを知る」という言葉があるが、貧乏な家に育った私は、恐らくこの「満足する」という能力が著しく高いのだ(親からすれば元の取れない娘だろうが)。

それともうひとつ違うのは、雨宮さんが憧れだった東京のど真ん中で、あくまで刺激的な暮らしを希求し続けたのに対し、私なんぞ家の位置こそ都心だが、実際は田舎みたいなコミュニティの中で、地味に暮らしているということ。

ときに憧れは嫉妬になり、嫉妬は自分への失望に繋がる。失望と生きるぐらいなら、憧れなんて捨てたほうがマシだ。上を見れば限りがない都会で、細く長く生きるコツかもしれない。

私はもはや、上京した目的など忘れてしまった。もうこれ以上、食べたいものも買いたいものも見たいものも別にない。今はただ、ちゃんと生きることだけを希求している。