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東京百景

足元にある小さな幸せをコレクションするブログ

いつか老いるその日のために

91才になるおばあちゃん(祖母)が、私の名前を忘れていた。

子供の頃、夏休みには毎年面倒見てもらって、私の趣味トップ3に入る「編み物」だっておばあちゃんに教えてもらった。

そんなおばあちゃんが、私の名前を忘れていた。

私は忘れられたことよりも、人の能力をここまで低下させる「老い」というものに驚いた。やがて私も長生きすれば、こういう日が来るのだと思った。

ところで、年を取ったおばあちゃんは、昔のことだけはよく覚えている。「人生」というものが人の数だけあるなら、呆けても尚よく覚えていることが、その人の人生の中核なのだろう。

私は今37才で、結婚もしていないからまだ、「人生はこれから」と思っているようなところがある。だけど事実として、37年分の過去はしっかり積み重ねているわけで、いわば毎日が本番。どこで中核を過ぎるか分からないのだ。10代じゃあるまいし、いつまでも助走気分でいるのは、大きな間違いじゃないかと思った。

自分が本当に大切にしたいこと、それを見極め、選択する。呆けても尚忘れたくない記憶をたくさん残すことが、いつか老いる自分のために、今、できることなのかもしれない。