ひとり旅はいいものだ。
目的地を決め、計画通りに実行すれば、全てが自分の思い通り。人に気を使う必要はないし、異国を歩く自分の姿も、勇敢で格好いい感じがする。
と、若いころにはこういう理由で、ひとり旅をよくしていた。ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど数えきれないほど行った。
しかし。
見たいものをある程度見ると、欲しくなるのが、「想い出」というもの。ひとり旅だと記録(写真)は残るが、記憶は自分の記憶次第。人と共有できるものは少ない。
さて、最近私は、ふたり旅をしてきた。
見たいところが多いわけではなかったが、それにしても連れが、見たいものを見せてくれない。旅の価値観が異なるのだ。
その代わりに、連れが見たがっていたものの中で、見て良かったものがたくさんあった。
田舎の山道で古い地図と格闘したり、渋滞を歌って乗り越えたり、独りではできないことも多かったし、自分で予定していなかった中で、期待以上のできごとがあった。写真はろくに撮れなかったけど。
というわけで、ひとり旅はいいものだが、ふたり旅もまたいいものだ。比べるのもアホらしいくらい、質が異なる。
計画と勇敢さで満足を得るひとり旅に対し、ふたり旅は、道中が丸ごと想い出になりうる。