篠山への転居を、自力ですることになった。
本郷→根津の転居(区内)に車を出してくれた人が、篠山へも出してくれるというのだ。酔狂にもほどがあるけど、面白いから頼むことにした。
業者さんより安いし、何しろ一緒にいられるし。
この人は私が、5年間好きだった人だ。今後もきっと死ぬまで好きだ。もう一緒にはいられないけど。
この人から学んだのは、泣いたり笑ったりすることが、人生の幸せだということ。
どうにもならずに泣いた夜。それでも会えて嬉しかった夜。
泣くようなことがあるからこそ、心底笑えることがある。
泣き続ける人生もなければ、笑い続ける人生もないが、平坦な道ばかりでは無表情になってしまう。その点、凸凹した道は、上がったり下がったりする感情を味わうのが忙しいほど。
この原則に気づいてからは、この人の存在に感謝できるようになった。
自分が何かを得ようとか、何かをしてもらおうとかいうことではなく、一緒に過ごす時間が、共通の宝物を作っていくような感覚。
独りでは作れないものを、「おかげで」作れているような感覚。互いに、丁寧に扱い合って。
この人に出会って、大好きとかありがとうとかいう言葉が、自然に出てくる感覚を得られた。そういう意味で本当に、幸せだったと思う。