薄曇りの空に、溶けて消えそうな淡い白。
そんな色合いの中に、音も立てずに近づいてくる、春の存在を感じます。
今が盛りと咲く、木蓮の花。
根津神社の横には並木があり、今日は本郷図書館の近くに、立派な木を見つけました。
この花を見つけたくて、時期になれば常にきょろきょろ、探しながら歩いているのです。
木蓮が少し特別なのは、この花が咲く時期に、ある人の誕生日が来るから。
盛大に祝う、わけではないし、その人は自分の誕生日を「すっかり忘れてる」とすらいいます。
自分の誕生日なんてせいぜい「ブラシの日」とか「カレンダーの日」とか、誰が決めたか分からない、誰が覚えてるかも分からない、その辺にごろごろあるような記念日。そんなもんだと。
確かに、年を取ればそんなものかもしれない。
「また年を取ってしまった」と、自分の衰えをわざわざ実感しなきゃならない日。
よっぽどのリア充でもなければ、単に憂鬱なだけかも。
それでも、ひそかに祝っている。
その人に出会えて、良かった人の1人として。