あの震災から、1ヶ月が経ちました。
忘れられない、忘れてはならない、M9.0という史上最大級の規模に、次々都市を丸呑みした津波の被害。しかし日本社会の課題として重い影を落としているのは、原発。その問題に他ならないでしょう。
原発に、賛成か、反対か。
難しいことは分からない。けれど率直に思うのは、「えらいもん作っちまったな」。それに尽きます。
都会でのうのうと暮らしながら、福島に原発があったことも、地元に犠牲を強いてきたことも、全く知らなかったのです。
映画「祝の島」は、現在進行形の問題を扱うドキュメンタリー映画です。
舞台は山口県上関町。原発建設予定地である田ノ浦の沖合には、祝島という小さな島が浮かんでいます。
祝島の人たちは代々、親からもらった田んぼで米を作り、親からもらった海で魚を釣って、子や孫を育ててきました。
しかし、そこは離島。「過疎の土地だから大丈夫」と、建設予定地に選ばれてから、島の反対派と町の賛成派との闘いは、30年近くにも及ぶのだそう。
過疎地だからって、何が「大丈夫」なのか。
映画の中に出てくるのは、健康な生活を営み、ただただ命を繋ぎたい、そんな島の人たちの小さな小さな暮らしです。
効率を重視する社会の都合に、人数の大小が基準になるのはおかしい。まして、金銭の大小に人が犠牲になるなんて。
凄く印象的だったシーンがあります。
親が開墾した土地で、稲作を営むおじいちゃん。自分には子がおらず、田んぼには後継者がいない。けれど、それはそれで良いのだと、彼はいいます。
「田んぼは、自然に還るから。」
原発は、自然に還らない。
私たちは、未来に何を残すのでしょう?