高校生の頃、私は『自分にしか出来ない仕事がしたい!』と、心の底から思っていた。
大人になった今となっては、どんな仕事であれ、自分のしたようにしかならない、ということは分かるのだが、当時の自分は、マニュアルで決められるような仕事は、自分の仕事でないような気がしていた。
西村佳哲さんという人の『自分をいかして生きる』という本が刺さった。数年来の疑問に、全て答えてくれたからだ。
彼はいう。
仕事というものは一般に、水上にその姿の見えている、島の部分だけのようにとらえられているけど、実際はその水面下にある、その仕事をした人の能力や考え方や、存在そのものまでをいうのだ。
7年勤めた会社を、来週で辞める。
実は2年前にも辞めたかったけど、何となく、納得出来なくて居残った。
それが今、すっきり辞めようと思うのは、私のしてきた仕事というのが、水上に見える島の部分だけでなく、水面下にある私自身が、私らしくしてきた仕事だと、心から納得出来たからだ。
ここからは、後の自分のためのメモ。
事務職時代、私は『Excelの得意な人だ』といわれていた。島の部分だけをとらえれば、そうだったのかもしれない。
自分では納得がいかなかった。私の本当の強みは、Excel以前の部分。例えば上司の考えを理解する能力だったり、同僚の意見を聞く聴くだったりすると思っていたからだ。
そこで辞めるのを止め、職種を変えてみることにした。営業に転向したのだ。
向いてないとは思っていたけど、確かに向いていなかった。営業は、島の部分だけで判断される仕事だからだ。いや、本質は違うのだろうけど、少なくとも今は、島の部分だけだ。
そして営業として、島の部分を大きくするには、私が大きく育ててきた水面下の部分は時に邪魔になるのだと分かった。聴いてばっかりじゃ、理解してばっかりじゃ、売れない。
能力というものは、適正に活かさなければ、長所にもならないどころか、短所にすらなる。それを克服してどうのって、やってる年でもないしねぇ。
自分を作った6年間と、自分を知った1年間。