初めての街を訪れたとき、“懐かしい”って感覚に陥ることはありませんか?
既視感のような、昔住んだことがあるような。そんな親しみが湧いてくると、ますます興味が湧いてきたり、散策が楽しくなったりするものです。
愛媛県松山市は、「坂の上の雲」と「坊ちゃん」の街。道後温泉の街でもあります。
文学や温泉など、親しみの湧くテーマが多い中、抜群に面白かったのが、「坂の上の雲ミュージアム」。
司馬遼太郎の同名小説に沿って、明治という時代や松山出身の3人の若者(秋山好古・真之兄弟と正岡子規)を紹介している博物館で、来年の2月までは、「子規と帝国大学」という企画展をしています。
司馬先生の直筆原稿も!
明治の優秀な若者は、国を背負って立つために皆、帝国大学を目指したそうですが、正岡子規もその一人。にもかかわらず、俳句が好き過ぎて大学を中退してしまったエピソードなど、歴史的な偉人といえども人の子と、親しみの湧く内容になっていました。また、帝国大学=東大=私の家の近所なので、そういう意味でも親近感。
博物館を出た私は、その足で本屋へ行き、「坂の上の雲」を購入しました(単純)。
萬翠荘Ⅲ
さて、37年間で9つの街に住んだことがある私。実はどこを訪れても“懐かしい”感覚を得やすいのですが、にしても松山は格別でした!
明治の贅が尽くされた萬翠筝
まず正岡子規や夏目漱石といった文豪推し。今住んでいる東京都文京区は、明治の文豪が数多く住み、区もそればかりを推しています。また、幼少期を過ごした島根県津和野町は森鴎外推しの街でもあります。
萬翠荘Ⅲ
そして道後温泉。私の実家は静岡県熱海市という温泉街で、その雰囲気など見ていると、良い意味で、まるで遠く四国まで来た気がしないのでありました。
ということで、親近感湧きまくりの松山。
実は私、あちこち住んだことについて、 “故郷がない”とネガティブな解釈をしていました。
しかし!“親近感”こそ“共感”の種であり、“共感”こそ“好き”の種なら、これを感じやすい性格は、幸せな性格でもあります。
そんなことを実感した松山。共感の多い人生は、きっと“好き”の多い人生であり、幸せであるはずだ。ということで、これからもこの性格を大切にしよう!と、松山を後にしました。