1年通った「シェア畑」は、8月末で解約することになった。
理由は遠いから。30分の農作業のために、往復2時間通うのが辛い。
夏の畑では、キュウリ、トマト、オクラなど、旬の野菜が育ち放題である。
育つのは野菜だけでなく、雑草だって伸び放題。全身蚊に食われながらの草刈りは、正直いって辛い。
だけど、あと1ヶ月半でお別れとなると、こんな格闘すらも名残惜しく、帰り際に自然と「ありがとう」が口をついて出てくる。
畑からは本当に多くのことを学ばせてもらった。
1つは、土をきちんと作って、ときどきメンテナンスしてあげれば、後は自然の力によって、大きくたわわに実るってこと。
もともと土いじりは好きだったけど、プランターとはまるで違っていた。小さい畑ながら、大地ってものの力を感じた。
もう1つは、自分で育てた野菜は、なかなか形が揃わないってこと。
キュウリにしてもイチゴにしても、全てがいびつで個性的で、普段、スーパーで目にする野菜は本当に同じ野菜なのかってぐらい。
ま、私の育て方が悪かったのかもしれないけど、自然ってこういうことなんだろうと。形をきれいに揃えるには、人工的で人為的な作業が必要なんだろうと解釈した。
こういうことを、すぐ人間に当てはめるのは悪い癖だが、人間も一人ひとりが、いびつで個性的な存在である。
としたら、人工的で人為的な枠にはめるより、自然に生きるほうが、大きくたわわに実るのではないだろうか。
必要なのは、その人に合った土(環境)に植えてあげることと、ときどきのメンテナンスを施すこと。それさえあれば、キュウリはキュウリになっていくのだ。
(続く)