以前、私の母が、ぷりぷりと腹を立てていたことがあった。
何かというと、「嫁が息子(私の兄)を大切にしていない」というのである。
ある日、母が兄の元へ遊びに行き、目撃したところの情報では、嫁は兄のために料理もせず、身なりを整えさせることも疎かにしていた。専業主婦の分際で何事だと。
ちなみに私の母は、36才で離婚して子供2人を育てた人なので、その辺の人より働き者だし、強靭な女である。←(笑)
普通の嫁さんと自分(母)を比較しちゃ可哀想でしょということもあり、私は「ふーん」と聞き流していたが、こんなことを思い出したのは、「大切にする」って大切なことだと、今更ながらに気づいたからである。
昨日も書いたように、私の関わっている事業は今、修羅場…というか大きな転換期を迎えている。開業からたったの3ヶ月でだ。
そもそも投資した金額が大きすぎるとか、戦略立てが遅かったとか、組織の基盤がなってないとか、覆水盆に返らぬことを議論したってしょうがないのだが、私は自分の落ち度として、「大切にする」ことを怠ったことだけは反省したいと思っている。
誰がどんな想いで、どんな苦労をして、これを立ち上げるに至ったか。
ビジネスライクに進めるばかりで、それを聞こうとしなかった。噂で聞く限りは「うーん」という内容だったが、それを本人はどう感じているのか、までは聞こうとしなかった。
つまり、その人の「大切にしたいこと」を確認しなかったということだ。その大切さに気付いていなかったから。
そもそも投資した金額が大きすぎるとか、戦略立てが遅かったとか、組織の基盤がなってないとか、文句は山ほどあるけれど、それでも「大切にする」ことだけは、もう少し考えるべきだった。
自分がないがしろにされて、初めて気づいたのだ。大切にされたければ、まずこちらから大切にしなければ。
冒頭に戻って、兄は何故、嫁から大切にされなかったか。
それはもう、愛情がなかったからでしょう。
結婚の経緯もいろいろあったのは割愛するけど、愛情ってのはもう難しい。
温泉みたいに湧くときは湧く。
だけど永遠には湧かないから、後は双方、育てる努力が必要。
その育てるってことが「大切にする」ってことで、料理をするでも洗濯をするでも、小さな声かけてでも良いけど、双方に具体的な表現や行動として見えなければ、それはもう、ないのと一緒なんでしょう。ルールとして定めるとかいうそれ以前のことですよ。
大切にされたければ、大切にしろ。これが鉄則。ぎゃーぎゃー文句いう前に。
激しく長い前置きになりましたが、私は明日の修羅場に備えて、「Y田くんを大切にしてください」という手紙を、上司に宛てて書きました。
賢げな議論の前に、必要なのは愛情。