2020年8月28日、安倍首相が辞めることになった。
Twitterで見かけたのは「#辞任と逮捕はセットだろ」というハッシュタグ。
権力を盾にやりたい放題。確かに、逮捕されて然るべきだ。
が、レガシーなどなくとも、歴代最長の首相(とその周辺)。逮捕、逮捕と期待すれば、裏切られたときのショックは大きいだろう。
そこで私は、「忘れない」ことにした。逮捕はされないかもしれないけど、自分の意志で忘れないことはできるのだ。
そんなことを考えていたら、『26年』という韓国映画を思い出した。
これは、かつて民衆の蜂起を制圧し、独裁者として君臨した元大統領(実存)を、その犠牲になった市民の遺族が、暗殺しようとするフィクション。
印象に残ったのは、命を狙われる元大統領が、市民を死なせた責任をろくに感じることもなく「のうのうと」生き永らえているシーン。
安倍氏も逮捕されなければきっと、「のうのうと」生き永らえていくのだろう。
映画とはいえ実存する人物を殺そうとする韓国映画界も凄いが、しかし、ここまでしなければ、市民として「許しません」というポーズにはならないような気がした。
さて、安倍政権終焉に際し、日本映画で見ておきたいのは『新聞記者』。
安倍政権が「身内の優遇」と「巧みなメディアコントロール」を通じて、「やってる感」だけで生き永らえてきたことは有名だが、その細かい手口が生々しいぐらい詳しく描かれている。
フィクションではあるが元ネタは分かりすぎるほど分かるし、「こんな連中に命預けてたのかよ………」とショックも受けるかもしれないが、2020年を生きる日本の社会人として、ほとぼりが冷めないうちに見ておきたい作品だ。