春になると、むくむく湧いてくるものがある。
「向学心」だ。
コロナ禍の2年間、危機感から来る勉強熱に突き動かされてきた私。堅い本を読んだり、堅い映画を見たり、いわゆる「娯楽」など忘れ、会社とヨガの時間以外はほとんど、見聞を深めるために費やしてきたが、それでも底がないどころか、拍車がかかっているのを感じる。
そして2022年。
春の新たな向学心は、「英語」へと向かうことになった。
英語といっても「喋れるように」なりたいわけではなく、欧米メディアの情報を自分で聞けるようになりたい(もっとハードル高いって?)。
というのも、ウクライナ報道にしてもそうだが、欧米メディアは質が高い。反面、日本のメディアはというと、たまに銭湯なんかでTVを見るとき、いろいろびっくりしちゃうのだ。
というわけで最近は、学習者向けに編集された英字新聞を購読。
国内外のニュースはもちろん、映画や旅行などコラムも充実していて、好奇心をくすぐられる。分からない語彙でも喜んで調べるという好循環。
リモートワーク中は付録の音声教材を聞き、夜になったらノートを広げる。「ノート」なんて学生みたいで楽しく、「危機感」が動機で始めたことだが、案外、悲愴感は漂っていない。
道は長く遠そうだけど、楽しく頑張ってみよう。
ところで、「危機感から来る勉強」といえば、私が昔聞いた、そして一生忘れたくない話を書き残しておきたい。
それを聞いたのは、私が釜山(韓国)で日本語の先生をしていた頃(2000年代前半)。私の生徒たちは、朝、会社や学校に行く前か、夜、会社や学校に行った後、或いは週末、会社や学校に行かない日に私の授業を聞きに来ていた。
当時、日本には「朝活」なんて言葉もない。私が「韓国人はなぜ、老いも若きも男も女も、こんなに熱心に勉強するの?」と聞いたら、博識なKさんはこう答えた。
「韓国は、中国や日本に挟まれた小国で、昔から戦災に遭いやすい国でした。加えて今は北朝鮮もあり、何かあったときにすぐ逃げられるよう、荷物は頭の中に詰めておくんです。」
………頭の中に荷物(知識)を詰める!
25才のときに聞いて、43才になろうとする今でも、忘れられない言葉だ。生き抜くために賢くなる。そんな覚悟を見た気がした。
そして、あれから20年近く。
韓国は今や、日本と同じかそれ以上の経済力を得た。その覚悟は確かに正しかったのだと感じる。
さて、私も賢くなろう!