4月に見た映画がどれも感動作揃いだったので、忘れないうちにメモしておく。
あの日の声を探して(2014年フランス/Amazonプライム)
「アーティスト」のミシェル・アザナヴィシウス監督が、チェチェン紛争を舞台に描いたヒューマン・ドラマ。両親を殺され声を失った少年と、目の前の戦争(チェチェン紛争)を止めることができず無力感に苛まれるEUの女性職員が辿る過酷な運命を描く。
マルモイ ことばあつめ(2019年韓国/Amazonプライム)
1940年代の日本統治下の朝鮮半島。 盗みなどで生計をたてていたパンスは、ジョンファンという男のバッグを盗んだことをきっかけに、ある世界を知る。 それは失われていく朝鮮語を守るために朝鮮語の辞書を作ろうと各地の方言などあらゆる言葉を集めている人たちだった。
ベルファスト(2021年アイルランド・イギリス/公開中)
第94回アカデミー賞で注目された、ケネス・ブラナー監督の幼少期を投影した自伝的作品。北アイルランド、ベルファスト出身の監督が、9歳の少年の目を通して、愛と笑顔に満ちた日常と、時代(北アイルランド紛争)に翻弄され変貌していく街を克明に描く。
カモンカモン(2021年アメリカ/公開中)
『ジョーカー』で狂気に満ちた演技を見せたホアキン・フェニックス主演の人間ドラマ。独身生活を謳歌しているジャーナリストが、9歳の甥との共同生活で互いにぶつかり合いながらも成長し、大切な絆を育む様を描く。
4本中3本が戦争(紛争)に関するもの。
理由はもちろん、ロシア軍によるウクライナ侵攻に未だ出口が見えないからだ。遠く離れた日本で、のうのうと暮らす個人が何をしたところで影響などないものだが、それでも今、何を見るべきか考えたら、体がそういう映画を求めた。
・・・が、闇雲に見ていたのも確かで、
見ているうちに段々、頭に「?」が湧いてきた。何のために見てるんだろう。私が映画を見ることに、私が泣いてすっきりする以外に、何の意味があるんだろう。
そんな疑問を抱えていたある日、毎週見ているYoutube番組で、こんな言葉が聞かれた。
人間なんてそんなに進化しないんですよ。だけど、歴史的事実だけは増えていくから、そこから学んでいくしかない。
「闇雲に」見ていた理由が、腑に落ちた瞬間だった。
私は、戦争が起きれば悲しみ、災害が起きても悲しみ、それが2度と起きないことを願うような人間だ。3.11のときには「原発はなくなる」と本気で思っていた。
が、現実はそうはならないし、自分だって「その時」だけで、本気でコミットなどしない。結局は私も「進化」できない人間の一形態か。
しかし、ここで無力感を覚えて、全てを放棄するようではそれこそ無意味というもの。個人でできるような小さなことから変えていく。私にとってその一つが「映画で感じて考える」ことなのだろう。
映画に描かれているのは「過去」だ。が、今も同じような人が大量にいるのだ。それを想像してみることで、何か考えられるかもしれない。
戦地で起きていることは戦地で起きていることだ。が、構造的に考えれば、日本でも起きる可能性がある。そう理解していれば、日々の判断は変わるかもしれない。
社会は長い時間をかけて、悪くなりもすれば良くなりもする。私は、自分で旗を立てるほどの人間ではないが、「良い」側でいるために小さな努力を重ねたい。
「当たり前」という感覚が、人によって共通のものでなくなりつつある今、せめて「まともな」ほうではいたいから。
ちなみに4本目の「カモンカモン」は、まさに普遍的な価値観を問う、年に1回は見たい映画でした。(4本中一番泣いたけど、とっても説明しづらいので、たった2行ですみません)