ゆかこの部屋

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「22週の壁」を越えて(妊娠22週/6ヶ月)

妊娠22週(1/22-28)のふりかえり。体調は10点満点中8から9点。体重は妊娠前+4.2kg(◎)

日に日にお腹が大きくなるこの頃。妊娠発覚が9月末で出産予定が5月末なので、1月末の今が折り返し地点となるが、まだ折り返し地点なの?お腹どこまで大きくなるの?って感じがしている。

今週は10年に1度の寒波が来たので、足元用ホットマットを購入。足裏温めはもちろん、座布団や湯たんぽにもなる。私の血圧問題は冷え問題なので、これで完全解決するはず。

 

さて、妊娠22週といえば「22週の壁」である。いわゆる「生育限界」と呼ばれるもので、万一、正産期(37-41週)前に胎児が出てきてしまっても、22週を越えれば助けられる確率が高くなるため、このように呼ばれているらしい。21週以前のそれを「流産」と呼び、22週以降のそれを「早産」と呼ぶのもこういった理由からだ。

 

流産といえば、毎日聞いている「ゴールデンラジオ」で、残念ながら流産してしまった方のメッセージが読まれた。

結婚して4年、子どもはもう諦めていたが、この年末に妊娠が発覚。しかし8週を迎えたところで稽留流産してしまい、その後激痛と共に、赤ちゃんが出てきた。

メッセージを読んだ男性パーソナリティは、「稽留流産」など、恐らく聞き慣れぬ言葉をたどたどしく読んでいたが、妊娠する前ならば、きっと私もそうだったろう。

だが8週といえば、私もちょうど切迫流産で寝込んでいた頃。40代の半数は流産するというから、いつそうなっても良いように、鎮痛剤やナプキンを買い集めている時期だった。結局、ことなきを得たとはいえ、自分にもそっち側の道があったのだと思うと、涙が自然に溢れてきた。今、私がこうなっているのは、とても貴重なことなんだと。

tokyo100k.hatenablog.jp

同じくラジオで、とても響く内容があった。歌手・加藤登紀子さんが出演したTBSラジオ「アシタノカレッジ」(1/27)だ。

凄い内容だったのでシェアするけど(29:09〜)、時は1943年、日本が敗戦への道を走り始めた年に満州で生まれた加藤さん。社会はまさに絶望の淵にあったが、そんな中で母から聞かされたのは、「あなたは希望だったのよ」という言葉だったという。


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加藤さん曰く、戦争というのは、始まる時は威勢よく始まるけど、終わりかたというのは、誰も決めていないし教えてもくれない。今のウクライナがそうであるように、国同士が戦っているように見えて、実際に死ぬのは罪のない市民だけだ。

加藤さんが生まれたのはまさにそういう時代で、ただ、満州から引き揚げる中で母が感じたのは「今日を生きる希望」だったという。

説明が難しいので直接聞いてもらいたいですが、希望とは、絶望の中でこそくっきり見えるものだし、産まれる子どもにとってはどんな時代だって未来しかないし、希望しかないのだ、という言葉が心の中に強く残った。

 

私は今、妊婦ライフを9割楽しんでいるけれど、残り1割ぐらいは、こんな明るくもない時代に産み育てることへの不安がある。そういうときは「戦争中だって子どもは生まれた!」と自分を鼓舞していたが、今回、張本人である加藤さんの話を聞き、子ども、それ自体が希望なのだと、運良く与えられたものの大きさに、またしても泣いたのだった。

 

さて、「こんな時代にどう育てる?」ということでいえば、最近読んだ「山びこ学校」がとても勉強になった。

山びこ学校―山形県山元中学校生徒の生活記録

この本は、戦後、山形の農村で、無着成恭という中学校の先生が実践した「生活綴方」という社会科教育の成果をまとめたもの。

本は文字通り、生徒たちが自分の暮らしについて綴った作文集だが、例えば農村の暮らしは貧しく、ろくに学校も行けない生徒が「どうして学校に行けないのか?」という問いを立て、家が貧しいから→農民が貧しいから→税金の高さに対して労働効率が低いからという連鎖に気づき、策として「集落ごとに農業機械を買えば良い」と考えたが、実際には「機械を乱暴に扱う人」がいたり、「自分の機械を貸すことで大きな顔をしたい人」がいたりして進まないため(リアルw)、大人の意識改革を促すそうと村に新聞を貼ったりしたエピソードなどが載っている。

まっすぐな視線とみずみずしい文章に気を取られそうになるが、着目すべきは、「暮らしに根ざした社会科」であること。

当時、文部省の教科書には、戦後導入された民主主義などが高らかに謳われてはいたものの、実際のところ、農村暮らしとは乖離のある「都会」向けの内容でしかなかったらしく、一方、生活綴方という教育には「自分たちの暮らしを自分たちで良くする。そのために考え、学び、行動する!」という姿勢が貫かれていたようだ。「これこそ本当の教育!」と思わされる内容だった。

 

令和の今、子どもの教育にはお金がかかる、といわれている。東京だと私立に入れる人も多く、教育格差はそのまま、将来の経済格差に現れる…などともいわれている。が、だからって、ただ良い学校を目指せば良いのか?競争ばかりが幸せか?こんな未来のない国で?

という問いも長いことあった中で、まずは暮らしを幸せにしよう、そのために学び行動しよう、という生活綴方の教えは、とても納得のいくものだった。

 

そういうわけで、22週のまとめ。

この子は本当に生まれてきそうだ→どんな時代であれ子どもは希望。頑張って育てよう→日々の暮らしから考え、学び、行動できる子に育てたい。