10代の頃は、夢なんかもう、腐るほどあった。
その中の1つが、ロンドンに行くこと。部屋の壁には地図。通りの名前を、覚えてしまうほど眺めた。
そんな夢が、叶ったのは20歳の夏。
ロンドン郊外に留学中だった友人と、「8月29日午前11時に、ウォータールー駅の薬局前で」待ち合わせ。
ユーロスターは定刻に到着。ところが、入国審査に時間がかかり、待ち合わせに遅刻してしまった。3G携帯もない時代。ちゃんと会えるか、はらはらはらはら。
「あ!!!」
結局友人が心配し、階段を降りてきたところで、再会。
互いに顔を見合わせて、感動というより感激というより、「見たことのある人がいる」、妙な感じ。
そこからは興奮も絶頂で、
宿を取って、鞄を置いて、街に繰り出し、観光、観光。そして「一緒に見よう!」と、いつか約束したビッグ・ベン。
楽しい楽しいロンドンの1日は、楽しい楽しい、楽しいの内に終了。
帰国後、目にしたママのアルバムには、「2人の青春の1日に立ち会えて良かった」と、書かれていた。