夏休みで岐阜に行ってきた。
目的地は郡上八幡。「郡上おどり」を見てみたい連れの意向により、移住したA子ちゃんに会いたい私の意向により。
天候に恵まれた初日。緊張のせいか5時前に目が覚めてしまい、7時前に東京を出て、10時過ぎには八幡城に着いた(この間一睡もせず)。
民俗学者の宮本常一曰く、旅の初めは「まず高いところから」。教えに従い天守閣から見ると、山の谷間にびっしりと素朴な町の暮らしが見えた。
郡上八幡は水の町だ。
中央を流れる「吉田川」は、そこそこ大きい川なのに川底まで透明。橋の上からでも魚影がはっきり見える。
川原には人が集まり、老いも若きも男も女も、すいすい吸い寄せられるように水の中へ入っていく。私もついつい裸足になって、しばし水と一体になった。
町の至るところに見られるのが、湧水の流れる水路と「水舟」と呼ばれる装置だ。
水舟とは二段または三段からなる水槽のことで、一段目の水は食材、二段目の水は食器を洗うためのもの。塵を含んだ水は最後、池の魚の餌になるそうだ。
この、単純でありながら合理的な循環!
水が自慢の地域ではよく見られるエコシステムだが、昔の人って本当に、賢いというか優しいというか………。
散策は「古い町並み」地区を中心にぐるぐる。
町そのものは大きくなく、「これ!」という見どころも少ないけれど、立ち並ぶ古民家やそこで営まれてきた暮らしの息吹みたいなものが、優しく染み入るようだった。
この時期、民家の軒先に目立つのが「郡上おどり」の提灯だ。夕刻を過ぎると火が灯り、今夜の踊りの始まりを告げる………!
郡上おどりは、江戸期から伝わる盆踊り。何が凄いって会期の長さ(7月中旬〜9月上旬)と、「徹夜踊り」なるものがあることだろう。盆の4日間(8/13〜16)は夜明けまで踊る…って、聞いたときは耳を疑った。
この日の会場は、八幡城の中腹にある「積翠園」というホテル。
坂の下からどこからともなく、ぞろぞろ人が集まってくる。日中どこにいた?って、聞きたくなるような人数だ。
定刻20時、中央の櫓から律儀に開始が「宣言」されると、そのままぞろぞろ踊り始める。玄人っぽい人もいれば見よう見まねの人も、ぞろぞろ、ぞろぞろ。
正直もっとカオスっぽいものを想像していたが、コロナ禍だからか、それとも時間が早いからか、意外と静か。それでいて夢中になれるのは、音と踊りのグルーブ感だろうか。長く受け継がれてきた伝統の、分厚い力を感じた。
念願の郡上おどりを体感して、21時頃には離脱。
宿の近くで初日の祝杯をあげたが、朝の5時起き&炎天下の歩き回り&浴衣で坂道まで歩いたダメージが祟り、部屋に帰って5分で朝まで気絶(熟睡)してしまった。
★郡上で食べたもの★