車を運転していたら、急に涙が溢れてきた。
私が東京に戻ったら、この車とは、別れなければならないんだと。
この車との出会いは、今年2月のことだった。名前を「きんと雲」という。
ビール修行で徳島へ行くのに、現金35万円で買った。
田舎だから毎日乗るのに加えて、大阪行ったり、神戸行ったり、名古屋行ったり。
そんなことより、誰にも言えない愚痴とか、愚痴にもならない罵倒とか、全部聞いてくれたのが、きんと雲だった。
にもかかわらず、私は一度の洗車もせず、ただ走らせるだけ走らせて、スピード違反で捕まったり、事故ってぼろぼろにしたり、謝らなければならないのに、文句の一つも言われなかった。
そりゃ、車なんだからそうだろう。
って、そういうことかもしれないけど、私は涙が溢れたのだ。
ありがとう。ごめんね。ありがとう。
ぼろぼろになったきんと雲と、自分を重ねているのだろうか。
今度休みが取れたら、きんと雲を洗ってあげたい。