2020年6月前半のニュースといえば、アメリカ全土で黒人差別に対する抗議デモが広がったことでしょう。
連日、目を覆うような映像を目にして、ちょうど香港(や東京)のデモと重なったこともあり、もやもやと気分の晴れない日が続きました。
差別は良くない。
これは、子供でも分かる「普遍」のはずです。なのに、何故なくならないのか。
昨夜はこんな問いに対して、答えをくれる映画を見ました。
答えは「人間の弱さ」。これを正しく認め、方策を講じることが、永遠のテーマなのだと感じました。
映画は『13th -憲法修正第13条-』というドキュメンタリーです。
アメリカの黒人差別は、17世紀~19世紀まで続いた「奴隷制度」が発端。
その奴隷制度は、本作のタイトルでもある、
1865年のアメリカ合衆国憲法修正第13条の成立で終わったことになっている。(Wikipedia)
が、その13条に「抜け穴」があるため、事実上、その体制は続いているという内容です。
奴隷制もしくは自発的でない隷属は、アメリカ合衆国内およびその法が及ぶ如何なる場所でも、存在してはならない。ただし犯罪者であって関連する者が正当と認めた場合の罰とするときを除く。(Wikipedia)
本作はドキュメンタリーなので、徹底的な取材により構成されています。曰く、
客観的に見て「ん?」となる数字ではないでしょうか。
要するに、アメリカの黒人男性が逮捕されすぎているということです。軽微な罪でも「犯罪者」に仕立てられ、不当に収監されているのです。
では、それで得をするのは誰か。
映画が伝えるのは、70‐80年代の政権における黒人差別の「政治的利用」、そして90年代以降における「利権としての刑務所産業」です。
詳しいことは映画見てくれって感じなんですが、
要は、治安が悪くなる原因=黒人というイメージを作り、断固として闘う大統領候補=自分として、票集めを行った(②)。90年代に入り刑務所運営が民営化されてからは、その会社を儲けさせるため、厳罰化の法改正までして受刑者(=刑務所の住民)を増やしたということです(③)。
利権に弱い為政者を、不安に弱い市民が支え、その犠牲に黒人がなる。
「人間の弱さ」が土台になった社会です。
ちょっと前の私ならきっと、「うわぁ、アメリカ怖い」で終わってしまったことでしょう。日本には「黒人対白人」というほど、分かりやすい対立がないからです。
ですが、例えば①のような不均衡は、日本の「米軍基地」が
ことにも見られるし、
②のような政治的利用は、わざわざ『東京アラート』なる基準を作り、選挙を前にそれを「クリア」して見せた小池百合子の姿だし、
③のような、まるで人権を担保にした利権構造は、『サービスデザイン推進協議会』のようなところにも見られるわけです。
「人間の弱さ」を土台に、得をする人と損をする人の差が、日本でも明白になっています。
ですが、アメリカほど分かりやすい対立構造がないので、問題の本質や、対抗策が小さく見えがちなのかもしれません。
心がけたいのは、世界の情勢に目を向けること。悲しいことは悲しいと感じ、内面化し、その構造に目を向けること。
小さくても、それぐらいならできるはず。
Never forget 💛 pic.twitter.com/RFcMfBmwME
— DJ Kam Bennett (@KameronBennett) 2020年5月30日